昨年(平成15年度)から規模を拡大し、全県からの受講生を受け付けるようになりました。
今年度も昨年度と同様に、自然科学分野に加えて、人文科学分野を加わえて、定員を各60名で全県の高校生が受講できる仕組みは変わりません。
期間は夏休みの8月第2週に、場所は神戸大学教育センター(国際文化学部)です。講義内容の詳細は以下をご覧ください。
※ 自然科学通論を受講して高校の単位認定を希望する場合の「追加講義」の日程は現在未定です(夏休み以降)。
日時 平成16年8月8日(月)〜11日(木) 1時限:9:30〜11:00 2時限:11:15〜12:45 3時限:13:45〜15:15
場所 神戸大学大学教育研究センター K401号教室
自然科学入門 授業科目の概要
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講 師: 佐々木 武(理学部・数学科 教授)
講義題目:地球の形と宇宙の形
講義概要:図形の相似性や三角法をふりかえり、よく知っている球面の上の図形について考えてみよう。意外な事実が隠れている。人は宇宙の大きさや形をどのように理解してきたか、宇宙のはじまりを知ろうとするときどんな数学が現われるのかなどを垣間見ることにしよう。授業の目標:相似と三角形の関係を一般化して考察すること。高校生へのメッッセージ等:宇宙は無限か有限か、それはどういうことか考えたことがありますか?
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講 師: 林 昌彦(理学部・化学科 教授)
講義題目:21 世紀の化学合成:不斉合成反応ー右手形物質と左手形物質のつくりわけ
講義概要:化学合成,なかでも医薬品に代表される有機化合物の合成は健康で文化的な生活を維持していくためにもますます重要になっています。そのような中,2001年のノーベル化学賞は「不斉合成反応の研究」に対して,名古屋大学の野依良治教授とモンサント社のノールズ博士(不斉水素化触媒反応),スクリプス研究所のシャープレス教授(不斉酸化触媒反応)に授与されました。本講義では,「不斉合成とはなにか,そのしくみ」,「不斉合成が実際に医薬品や香料,調味料の開発にどのように役立っているか」を中心にわかりやすく解説したいと思います。
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講 師:角野 康郎(理学部・生物学科 教授)
講義題目:生物多様性の危機と保全生態学
講義概要:地球上にはおそらく1億種を超える生物が存在すると考えられているが、今、多くの種の絶滅に象徴されるように、生物界の多様性が遺伝子から生態系に至るさまざまなレベルで危機にさらされている。この講義では、私たちのごく身近な環境で起こっている生物多様性の危機の実態とその背景を紹介する。その上で健全な生態系と生物多様性を保全するためには、どのような科学が求められているかを紹介する。
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講 師:西野 孝(工学部・応用化学科)
講義題目:高分子化学から環境調和を考える
講義内容:近い将来の石油資源の枯渇や地球環境を考えると,また,もっと身近なゴミ問題を考えると,これまでのような大量生産・大量消費システムの崩壊は時間の問題となってきています。われわれの身近にはプラスチックをはじめとする高分子材料が満ち満ちています。環境調和の問題を「化学」の視点から捉えてみたいと思います。
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講 師:大須賀公一(工学部・機械工学)
講義題目:人はどうやって歩いているの?---歩行の極意と「守破離」の教え---
講義内容:人は非常に巧みに二足歩行を行います。一方,最近のヒューマノイドロボットも上手に歩いてはいますが,何か人の歩き方とは違っているとは思いませんか? 実はそもそも両者の歩き方の原理が違っているのです。ロボットの歩行は「力ずくで歩く」,人の歩行は「自然に歩く」という違いがあります。本講義では,「人は如何にして自然に歩いているのか」という点を力学的な観点から考えてみたいと思います。その際,武道などでよく教えられる「守破離」という考え方が非常に的確に当てはまることを見て行きます。
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講 師:森 直樹(農学部・生物環境制御学科)
講義題目:「コムギ1万年の旅:DNA からその歴史を探ってみよう」
講義内容:私たちはコムギからとれる小麦粉をパンとしてあるいは、パスタ、ウドンやラーメン、ケーキなどのいろいろな食材としてほとんど毎日利用しています。このコムギは今からおよそ1万年前に地中海の東岸からイランまでの地域に住んでいた私たちの遠い祖先が野生のコムギを飼い慣らしたことによって生まれました。この講義では人間にとって画期的な「農作物」となったコムギがその後どのように進化し、世界各地に広がっていったのかDNA に残された記録をてがかりに探ってみよう。
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講 師:原山 洋(自然科学研究科 助教授)
講義題目:「生命の起源となる生殖細胞の不思議」
講義内容:この半世紀で人工授精や胚移植といった家畜繁殖技術が確立され,私たちは普段から良質の牛肉や豚肉を安価で食べられるようになりました。その後,家畜繁殖技術はさらに高度化して,体細胞クローンなどの発生工学技術へと進化し,畜産分野だけでなく,医療分野での利用が模索されています。このような技術を開発・改良するためには,生命の起源である生殖細胞の特殊なしくみや機能を詳しく解明しておくことが必要です。この講義では発生工学技術開発の基礎となる生殖細胞の研究に関する最近のトピックス(例えば「精子なしに卵子だけから生まれた単為発生マウス」「精子には顔はないのに鼻がある」)などをわかりやすく紹介します。
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講 師:杉本 幸裕(農学部・生物機能化学科 教授)
講義題目:「植物に寄生する植物の発芽戦略」
講義内容:動物に寄生する虫がいるように、植物に寄生する植物もいます。日本では問題になっていませんが、寄生植物は世界のあちこちで深刻な被害をもたらしています。いったん発芽したら引っ込むことはできないので、寄生植物は発芽する前に、周囲に自分を寄生させてくれる植物(宿主)がいることを確かめています。この講義では、寄生植物による被害の実態、寄生植物の防除方法と併せて、寄生植物の巧みな生き様について紹介します。
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講 師:佐俣博章 (海事科学部・海洋機械工学講座 助教授)
授業題目:ディジタル機器における情報の記録と再生
講義の概要:現在の高度情報通信社会を支える重要な要素の一つに、「いかに情報を記録し再生するか」という点が挙げられます。この講義では、ディジタル機器で利用される情報の記録・再生の先端技術について、そこで使用されている材料の特性を含めて講義します。iPodなどのミュージックプレーヤーやDVD レコーダーでは、音声や画像のデータがどのように記録されているのか、その仕組みをわかりやすく解説します。
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講 師:内田 誠(海事科学部・海事技術システム学講座 助教授)
授業題目:動力の有効活用
講義の概要:船舶の推進を例に取り上げ,原動機の出力から船体の前進運動まで,どのように動力が伝わり変換され,有効に活用されるのか,高校物理の知識との関連を重視して一緒に考えてみよう。また,船舶だけでなく飛行機やロケットなど流体中を推進する移動体に共通する推力発生原理や,その効率改善策についても考えよう。
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講 師:大澤 輝夫(海事科学部)
講義科目:地球温暖化問題と洋上風力発電
講義概要:地球温暖化問題は現在人類が直面する非常に大きな環境問題であり、学問分野や国々の垣根を超えた全世界的な対応が迫られています。本講義では、まず地球温暖化問題を正しく理解することを目的として、地球温暖化のメカニズムを簡単な気象学・海洋学の知識を基に解説します。後半では、地球温暖化問題への対応策として自然エネルギーの利用可能性について考え、特に、欧州を中心に近年発展が目覚しい洋上風力発電について解説します。
期時 平成16年8月8日(月)〜11日(木)
1時限:10:00〜11:30 2時限:13:00〜14:30 3時限:15:00〜16:30
場所 神戸大学大学教育研究センター K402号教室
人文科学入門 授業科目の概要
統一テーマ:−グローバリゼーションと現代社会の諸問題−
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講 師:樋口大祐(文学部)
講義題目:「20 世紀日本語文学と複数文化」
講義概要:
「グローバリゼーションは、世界中で、複数の文化に精神的故郷(アイデンティティ)
を感じる人々を増やしていく側面を持っています。しかし、このような現象は、必ずし
も最近になって始まった現象ではありません。本講義では、20 世紀の日本で書かれた文
学作品を具体的にとりあげ、グローバリゼーションの過去と現在における違い、及び、
この過程が人々の生活と意識をどのように変えてきたのかについて考えます。」
高校生へのメッセージ等:「高校時代は大学受験を控えて、色々と悩み多い時代だと思います。でも、受験は人生
のほんの一こまに過ぎません。世界の多様性、その懐の深さに対する信頼感を持って、
この時期を乗り切ってください。」
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講 師:藤田裕嗣(文学部・教授)
講義題目:日本人は列島の周辺部をいかに考えてきたか−「女人国」をめぐって−
講義概要:
「グローバリゼーション」について「過去」に遡って考察する際、日本列島の周りがま
ずは問題となろう。日本人は、日本列島の周辺部をいかに考えてきたのであろうか。こ
の問題に具体的に迫るために、古地図を取り上げ、日本と世界レベルの地図から探る。
周辺に描かれ、「女人国」とも総称される対象を材料に考えてみたい。
高校生へのメッセージ等:外国人は何を考えているか判らない、と漠然と思ってはいないだろうか? 異性の真
情を探るのも難しいですね。相互理解のためには、まずは、彼らも自分と同じ人間なの
だという前提から出発すべきでしょう。過去に遡る意味は、ロマンを求めるだけでなく、
「人の振り見て我が振り直せ」、なのである。
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講 師:喜多 伸一(文学部)
講義題目:心理学 −脳・機械・人間−
講義概要:
心理学は、名前は誰でも知っていて関心も高いにもかかわらず、内容はそれほどよく
知られていない学問分野です。心理学にもさまざまな分野がありますが、神戸大学文学
部では基礎を重視し、心理学実験に基づいた教育研究を行っています。この分野では、
見る・聞く・考える・体を動かす・言葉を使う・人と交わるといった心のはたらきを、
実験を用いて計測し、理論化するという方法を採っています。このような研究方法は、
理工学・基礎医学・教育学・社会科学といった隣接分野との共通性が高いので、研究交
流も盛んに行われています。授業では、基礎的な実験心理学の特徴を明らかにし、隣接
分野との関係の深さを伝えたいと考えています。
眼で見て外界を認識するということに関する実験心理学の研究例を紹介し、ロボット
研究や脳科学との関係を説明します。
高校生へのメッセージ等:理科系と文科系を区別するという考え方はできるだけ早く捨ててください。大学受験
まではそのような考え方は意味があるかもしれませんが、その後は無意味で有害です。
現代の生活は科学研究の成果の上に成立しており、科学と社会は密接不可分です。理科
系と文科系の素養をあわせもつ人だけが、科学と社会の両方に対し健全に接することが
でき、物心両面において豊かな未来を築くことができます。この授業がそのような人を
生み出すことに役立つことを希求します。
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講 師:緒形 康(文学部)
講義題目:東アジア共同体の過去と現在
講義概要:
アジア主義と呼ばれた明治以来の思想や活動について最初に考えてみます。例えば、宮
沢賢治という作家が大東亜共栄圏の時代に多くの読者を獲得したと言ったら、皆さんはさ
ぞ驚くでしょう。宮沢賢治の童話とアジア主義とはどう関わるのでしょうか。現在の自動
車産業が日本で勃興するのもアジア主義が大東亜共栄圏へと転換する1930年代です。
講義は、こうして戦後の経済発展へとすすんでゆきます。私たちの身近に「戦前」の影が
予想以上に多いことに、皆さんは驚かれるでしょう。
高校生へのメッセージ等:学校で勉強している世界史と日本史の近代以後の部分を、互いに関連付けながら理解す
るように、普段から心がけましょう。
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講 師:田中 順子(国際文化学部 助教授)
講義題目:「第二言語とグローバリゼーション」
講義概要:グローバリゼーションの進展により、第二言語(母国語以外の言語)を生活言語として
使用し、教育を受け、就業する人々が、海外でも日本国内でも増加しています。多言語併
用社会の先駆けであるカナダ・米国の状況や言語政策をふまえ、第二言語使用者をとりま
く問題について、言語発達と発達支援を主軸にして考察します。
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講 師:上野 成利(国際文化学部 助教授)
講義題目:「グローバリゼーションと暴力」
講義概要:
グローバル化が加速度的に進行するなか、テロや戦争が不気味な拡がりをみせている。
だがこうした暴力は文明に敵対する蛮行なのか。むしろ文明の内部にこそ暴力は潜んでい
るのではないか。――二〇世紀の経験が突きつけたこの問いを出発点に、現代社会におけ
る暴力の意味について考えたい。
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講 師:中村 覚(国際文化学部 助教授)
講義題目:「グローバリゼーションと中東」
講義概要:
アラブの国々では、1960 年代までアラブ民族主義が盛んであったが、1970 年代以降はイ
スラーム復興が続いている。現在アラブ諸国は、グローバリゼーションによる経済自由化
の波ばかりではなく、相次ぐ戦争やテロの影響を強く受けながら、政治制度、信仰の形態、
欧米諸国との国際関係の全ての面で、新しい姿を模索している。
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講 師:石原 享一 (国際文化学部 教授)
講義題目:「国際協力・国際交流と平和のつくりかた」
講義概要:
経済のグローバル化の進展は、各国・地域間の相互依存関係を強める一方、南北格差を
拡大し、文化摩擦や地域紛争を頻発させることにもなりました。国際協力・国際交流を通
じて平和共存を達成するには、どのような観点から制度を構築し、行動していけばよいの
か、共に考え、共に悩んでみよう。
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講 師:二宮 厚美(発達科学部 教授)
講義題目:人間の発達と言葉の役割
講義概要:
人類の始まりから、人間の発達は「労働と言語」によって築かれてきました。現代で
は、そのなかでも言葉とコミュニケーションを通じた人間の発達がとりわけ重要になっ
ています。情報化社会のなかで言葉を通じて人間はどのように発達を遂げていくのか、
このことを労働の役割と重ねて考えていくことにします。
高校生へのメッセージ等:
ものごとを理論的にとらえるということはどういうことなのかを学んでもらいたいと
思います。
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講 師:松岡 広路(発達科学部 助教授)
講義題目:脱学校論を知ってるか?
講義概要:
学校で学習することが、人々の学習の中心であると思っている人はいませんか。この
授業では、学校の問題点がどのように現代社会において批判されているのかを考えます。
脱学校論という考え方を紹介しつつ、学校外のさまざまな学習のありようを見つめまし
ょう。また、生涯学習社会が標榜される現代においてどのような学習および学習支援が
重要なのかを、参加されるみなさんと共に考えることが出来るような工夫をしたいと思
います。
高校生へのメッセージ等:
大学の授業は面白いよ。
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講 師:相澤 直樹(発達科学部 講師)
講義題目:思春期と心の自立
講義概要:
思春期は、心の自立の時期と言われています。しかし、そうは言っても今ひとつピン
と来ない人が多いのではないでしょうか?今回の授業では、身近な体験例と心理学的資
料を引きながら、心の自立という問題について専門的に考えてみたいと思います。
高校生へのメッセージ等:
心理学の実際にできるだけ触れてもらえればと思います。
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講 師:伊藤 篤(発達科学部 助教授)
講義題目:発達支援を考える:支援−被支援から相互支援への転換
講義概要:
子どもの発達支援、なかでも主に母親を対象とした家庭支援活動の実態を例にあげなが
ら、従来からなされてきた「支援される側・支援する側」という構造から、支援者コール
被支援者・被支援者イコール支援者といった「相互支援」への転換によって、どのような
コミュニティが生まれるのかを検討してみたい。
講義内容については、「高大連携通信」に詳しく記載されていますので、そちらをご覧ください。
このホームページは、2003/11/04 にスタートしました。